電子ピアノのカタログを見ると必ず書いてあるけれども、よくわからない度ナンバーワンの数字、最大同時発音数。
そりゃ多ければいいんだろうけども、実際に演奏にどう影響するのでしょうか?
最初に、最大同時発音数とは何か。
名前の通り、同時に音を発せられる最大の数のことです。
この数を超えると、最初に出た音から順番に音が消えていきます。
では、どれくらいの最大同時発音数があれば、どれくらいの演奏が出来るかを見ていきます。
最大同時発音数64
現行の電子ピアノで、最も少ない最大同時発音数は、ヤマハのYDP-S31などの「64」です。
ピアノの鍵盤数は88個ですので、「64」という数字は、一見、充分な数のように見えます。
しかし、実際には電子ピアノはステレオで音が鳴っています。
つまり、鍵盤を1回打鍵すると、左のスピーカーと右のスピーカーの2つの音が鳴るということです。
ということは、最大同時発音数の「64」というのは実は見せかけの数字で、実際には「32」音しか同時には出ません。
だいぶ心もとない数字になってきてしまいました。
ペダルを踏みながら「ドレミファソラシド」、と音を出すと、8音ですね。
ペダルを踏みながら「ドドレレミミファファソソララシシドド」、と音を出すと、16音ですね。
このように考えていくと、最大同時発音数が64(実際には32音)では、少し速い曲を弾くと、すぐに足りなくなってしまいます。
最大同時発音数128
では、最大同時発音数が「128」ではどうでしょうか。
ここには、2つの見方があります。
まずひとつは、単純に速い曲を弾いたときに足りるかどうか。
某メーカーによると、「ショパンの幻想即興曲あたりを弾くときには、音が足りなくなる」そうです。
音が足りなくなると、初めに出したほうの音から消えていきますが、消え方には各メーカー工夫を凝らしてあり、音が消えていっていることには気づく人と気づかない人がいるでしょう。
つまり、「ショパンを弾くくらいの演奏力があり(目指し)、音が消えていく違和感に気づく耳の良さがある(欲しい)人」は、「128」では足りないことになります。
もうひとつは、伴奏機能を使う場合です。
フルオーケストラで曲を再生できる機種の場合、伴奏の楽器は多ければ16パートあります。
16パートがそれぞれステレオで鳴っていれば2倍の32音、2和音ずつ鳴っていれば更に2倍の64音が伴奏に使われます。
そうすると、128音から64音を引いて、残りは64音。
これだと、ピアノ演奏はさきほど検証した「64」の最大同時発音数の場合と同じになってしまい、すぐに足りなくなってしまうでしょう。
最大同時発音数まとめ
「64」では心もとなく、
「128」は純粋にピアノとして使うなら中級者まで、伴奏をフルに使うなら少し心もとなく、
「192」は純粋にピアノとして使うなら音大やプロクラスまで、
「256」あれば、どんな使い方でも音大やプロクラスも実用上問題ありません。
最後にここまで説明してきておいて何ですが、最大同時発音数は、音色の好みや鍵盤のタッチ以上に重視するような点ではありません。
現行の機種は、ほとんどが128音の最大同時発音数はクリアしています。
もしも上記の内容までこだわりたい方は、ちょっと数字を見てみても面白いでしょう。
2013年2月時点での現行機種の最大同時発音数
最大同時発音数64の機種
ヤマハ YDP-S31 YDP-V240
コルグ LP-350
最大同時発音数192の機種
カワイ CN24 CA13
最大同時発音数256の機種
ヤマハ CLP-440 CLP-470 CLP-480 CLP-S406B CLP-S408PE CVP-605 CVP-609 NU1
カワイ CN24 CN34 CA65 CA95 ES7
カシオ PX-850 AP-450 AP-650
その他の機種は最大同時発音数128です。
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